仙台市青葉区上杉にある『体験学校 学心舎』は、体験を通して生きる力を育てる事を目的としています。

  • 実験教室「紅茶の色を変える?」

    2022年4月26日

    日本一不親切で自由な実験教室の報告 2022年4月
    「紅茶の色が変わる?実験の基本を学ぼう」

    2022年4月生がスタートしました。4年生のT君、H君、I君の3人が加わり、講師は引続き渡辺先生。今回は、東北大学・工学部の森田先生もお手伝いに参加してくれました。

    渡辺先生が「犬伏先生に負けないように・・・いやいや、犬伏先生以上の指導ができるように頑張ります」と言ったところ、こども達から「それ(犬伏先生を超える)はムリ!!」と厳しい発言(笑)。実験教室の開設からずっと犬伏先生だったので、こども達は「犬伏先生ロス?」。



    今回は、実験の基本を改めて学ぶことも目的でした。正確な実験データをとるには条件をそろえる事や比較する対象を作ること等を伝えました。資料を一緒に作った山田若菜先生には「まるで本当の研究室ですね!!」と驚かれます。

    「実験教室」と聞くと、混ぜたり燃やしたり、色が変わったり煙が出たり、驚く変化を楽しめるイメージがあるかもしれません。一般的な実験教室は確かに、変化を体験してその理由を学ぶパターンですが、学心舎の「日本一不親切で自由な実験教室」の目的は、こども達の探求心に火をつけ、考える事をあきらめない子に育て、これからの新しい学習スタイルで能力が発揮できるようにするためです。ですからこども達のためにも難しくても本物を伝えます。




    自己紹介が終わり、紅茶に加える抽出液を作ります。



    今回の実験は、色々な抽出液を作り、紅茶を薄くするものの特徴に気づかせることが目的です。おろし器で大根やキュウリをする子、トマトをつぶす子、シイタケを煮だす子・・・・様々なアイディアで成分を抽出していきます。まるで調理実習(笑)。包丁やおろし器を使う表情も楽しそうです。手が汚れたり、白衣が汚れたりしますが、こども達は困難を楽しんでいるようでもあります。

    4月の授業はいつも成田さんコールが響きます。その度に成田さんの冷たい返事が飛びます。
    「成田さん~!!混ぜてもいいですか?」 ⇒ 「自由にやりなさい!」
    「成田さん~!!ゴミを捨ててもいいですか?」 ⇒ 「自分で考えなさい」
    「成田さん~!!手が汚れちゃった。」 ⇒ 「どうしたいの?」
    「成田さん~!!ノートが濡れちゃった。」 ⇒ 「どうしたらいいと思う?」
    「成田さん~!!トイレに行ってもいいですか」 ⇒ 「『行ってきます!』でいいよ」

    学校では、自分で考えて行動する子=自分勝手な子とレッテルを貼られるのかもしれませんね。自由にやらせないのは、失敗させたくない大人の都合のような気がします。けれど「先生!!どうしたらいい?」と四六時中言われ続ける先生は大変でしょうし、こども達はいつまでたっても自立しません。

    学心舎では、実験を進めて失敗したらやり直せばいいし、手が汚れたら自分で考えればいい。その代わり失敗しても決して責めないし、やり直したかったら手伝います。ここが安心な場所であると理解し始めると、期末にはこども達からの成田さんコールはほとんどなくなります。



    さて、思い思いに野菜から抽出液を作って紅茶に加えて反応を見ます。劇的に変われば面白いのですが、僅かしか変化がありません。その僅かな変化を目を凝らして観察して、紅茶の色を変える食材の共通点を考えるのです。「色を薄くするのは酸っぱい食べ物だ」「色を濃くするのは生き物から採った液だ」と仮説を立てていきます。

    本来は、ここで「ではあなたの立てた仮説からすると、ワインを入れると変化するでしょうか?」と問題を出す予定でしたが、時間が足りませんでした。





    いよいよ観察して気づいたことの発表です。発表内容をこども達がお互い評価し合い点数化し表彰します。そこで今期の最優秀者への景品を発表したところ、「ちょっと待って?もう少し考えさせて?」と焦るT君。景品の力は大きいデス。
    今回の発表では、ベテラン組よりも新メンバーが果敢に発表しました。

    例えば、ベテラン組のRさんは、自分の仮説は立ててあったのですが、最後に出たたった1つのデータが自分の仮説に合わない事に気づき、自分の仮説の発表をとどまりました。R君は最後までジーっと紅茶を観察しています。つまり・・・ベテランチームは消極的なわけではなく、経験を重ねて考えが深くなってきたので無邪気な発言が出来なくなってきたのです。

    誰かからの評価ではなく、自分の中で納得いくラインがグンと上がった感じです。自由にヘンな答え大歓迎な教室ではありますが、成長していくとこのような変化が現れるのだと私自身も驚きました。*ダニングクルーガー効果と言います。

     はずかしがり屋のI君には、同じ恥ずかしがり屋のR君が前回最優秀賞をとった秘密をこっそり伝えました。兄弟で参加。優しくて面倒見の良いお姉ちゃんですが、弟の発表には質問を投げかけていました。これからバトルが楽しみです。





    初めての実験教室で、自由にやっていいと言われ、最後に発表させられ・・・と新メンバーは面食らったと思いますが、自由さを楽しみ、発表が好きになっていくよう講師一同支援していきます。
    学心舎 成田喜美代
    ?Gg[???ubN}[N??