仙台市青葉区上杉にある『体験学校 学心舎』は、体験を通して生きる力を育てる事を目的としています。

  • 2月の実験教室「固さってって何だ」

    2022年3月6日

    2022年2月  第5回実験教室の報告「固さってなんだ」

    「身長の高い人は?」と聞かれるより
    「身長が150㎝以上の人は?」と聞かれた方が判断しやすいですね。
    では問題です! 
    『スルメイカ』と『アメ』と『タブレット』をかたい順に並べてみよう!から授業がスタート。

    「当然、アメだよ」
    「スルメはやわらかいけどかたい」
    「タブレットはかたいけど、すぐ割れる」など疑問が湧きだしてきます。




    アメとタブレットに関心が集まります。
    どちらがもろい?
    溶けやすさとかたさの関係は?


    まず、かたい順に並べてその理由を一人ひとり発表しました。 

    つぎに、「かたい」の対義語について話し合いました。
    「やわらかい」「もろい」「崩れやすい」「 ゆるい」「(結びつきが)弱い」等々。
    つまり、かたさの基準が色々あることに気付いてほしかったのです。
    漢字で書くとわかりやすいですね。固い、硬い、堅い、難い・・・。

    では、かたさの単位ってあるのかな?と言うことで、
    「かたさの単位を自分で作っちゃおう」が今日のお題でした。
    自分の持ってきた食材をやわらかい順に並べて、
    その理由を具体的数字で証明するのです。

    お題を聞いた瞬間こども達からはため息(笑)。
    そうです、とっても難しいお題です。

    戸惑うこども達を見て、私と犬伏先生は心の中でガッツポーズ。

    日本一不親切で自由な実験クラブは、
    何かを教えたり覚えさせるのではなく、
    考える力を育てる事が目的です。
    こども達を考えなくてはならない環境に立たせて、
    それをサポートするのが私たちの役目だと思っています。

    話はそれますが、名門・麻布中学の入試過去問に
    「コーヒーの入れ方」がありました。
    いきなり書かせるのではなく、
    説明文が何ページにもわたるそうです。
    つまり、
    長い文章を読む力、あきらめずに考え続ける力が試されているとも言えます。

    今のこども達は
    「わかんない」「関係ない」「ネットで調べればいいじゃん」が口癖です。
    この実験教室が始まった頃もこども達からそんな空気が漂っていました。

    けれど2年が経過して、
    こども達は難問を出されるとため息はつくものの(笑)、
    あきらめません。
    苦労して自分なりの答えを2時間後には発表します。

    悩んで立ち止まっていては、時間が過ぎるばかりです。
    「とにかく手を動かして変化を記録するんだよ」と先生が声をかけます。


    つぶしたときの結果でかたさを判定するまでは簡単に思い浮かびます。
    その後に、それを数値化する方法にこども達は悩みます。


    つぶれた広がりを計るためにメモリをつけた計測器を作ったRちゃん。




    同じ力でつぶす必要に気づいたNちゃんは、素材を小さくして全部一斉につぶす方法を考えました。



    「つぶす」のではなく、「つぶれる条件」に着目したのはY君。
    どの高さから落としたらつぶれるかを計測していきます。
    人参がつぶれる高さは途方もなくこの方法は断念しましたが、
    着目点はみんなからは興味深々でした。





    つぶすための力を一定のするのではなく、
    つぶすための力を数字化したのはRちゃんとMちゃん。
    スケール(計器)の上に素材を置いて、
    カッターで切るために力を加えて、
    切れた時のスケールの重さの数字を記録します。
    とても繊細な観察が必要になります。



    素材を割る際の力を一定にするための工夫をしたのはR君。(さすがロボット教室生!!)。
    金づちを振り下ろす角度を一定にする計測器を作りました。
    分度器を使い、
    素材を割るために最低限必要な角度を考えました。
    そして、割るために要した力を降り下ろした回数で表現しました。   
                 


    物知りタイプのH君は「かたさは密度に関係する」との仮説から、
    持ってきた素材を顕微鏡で調べました。
    結果的には断念したのですが、
    教室の顕微鏡の精度がもっと高かったら仮説を証明できたかもしれません。
    ごめんね。



    そしていよいよ発表の時間です。



    いつもは一人ひとり発表して終わりなのですが、
    今回は発表の内容に対してみんなから質問を受けます。
    質問する側も、他人の発表をどれだけ真剣に聞き、
    イメージしているかが問われます。
    まるでテレビのワンシーンの様でした。かっこいい(笑)

    今回のテーマは大変難しく、
    こども達がどこまでやり遂げてくれるか不安でしたが、
    考える事をあきらめない力や発想力の豊かさが育っていることを感じて、
    益々こども達が可愛くなってきました。

    実際にはかたさには、
    割れない、傷つかない、変形しないなど様々な基準があります。
    かたさを計る専門の会社があるほど難しい
    この難問にわずか2時間で自分なりの答えを出したこども達でした。
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